【ヒプノセラピーセッション記】
- Ayako Lux
- 4月28日
- 読了時間: 5分

たとえ孤独の中でも──魂は、生きる力を信じていた。
砂漠を越えて──Yさんの前世「ユウリ」の物語
先日、セッションにいらしたYさんは、前半にインナーチャイルドの癒し、後半に前世療法という流れでヒプノセラピーを初体験されました。それはまるで、心の奥深くに眠っていた“小さな自分”と、魂の記憶に触れる旅のようでした。
🕊️ インナーチャイルドが伝えてくれた、本当の想い
最初に出会ったのは、幼い頃「Uさん」と呼ばれていた年長さんくらいのYさん自身。灰色のワンピースを着て、長い髪を一つに結び、ニコニコと可愛い笑顔を見せていました。触れるとふわっと優しい感触と、心地よい香りが広がります。
「我慢しなくていいんだよ」と声をかけると、びっくりしたような表情。本当はもっと甘えたかった。苦しかった──小さなUさんの胸の奥に秘められていた想いが、そっとあふれ出しました。
場面は変わり、中学生の頃の記憶へ。布団の中で眠る妹や弟、朝の台所に父母がいる。「お前がしっかりしないから」と母を責める父の声。Uさんは、それを聞きながら、心の中で「お母さんがかわいそう。早く会社に行ってほしい」とやるせない怒りを感じていました。
ここで、父親側の意識にも触れました。父は、Uさんがそんなふうに思っていること、感じていることを知りませんでした。
彼にとって、Uさんは大事な娘。「勉強ができれば、きっと自分の力で生きていける」──そんな思いから、つい厳しい言葉をかけてしまっていたのです。
「わかってるよ。でも、本当はもっと甘えたい。もっと一緒にいたい」とUさんの本音が漏れます。
このすれ違いを、父も初めて理解しました。「どんなふうでも、いてくれればそれでいいんだよ。」
ふたりは一緒にお母さんのための朝ごはんを作り、これまでの分も取り返すかのように存分に心を通わせていきました。作り終えたとき、Uさんは幸せな気持ちでいっぱいになりオレンジ色の光に包まれました。
🏜️ 砂漠を越えた魂の旅
インナーチャイルドを癒したあと、さらに深い意識の旅が続きました。たどり着いたのは、はるか昔のアラブ、西暦863年。砂漠の中、一人で誰かを待つ18歳の女性「ユウリ」としての記憶でした。
幼い頃の記憶
見えたのは、石や土でできた広々とした家。6歳のユウリは、ラグの敷かれた空間でひとりぼっち。寂しさを抱えながら、静かにそこにいました。
家族や親戚たちが集まったある日、怯えた空気の中で、お母さんはユウリに「強く、逞しく育ってほしい」と、お父さんは「とにかく生き抜いて」と願いを託しました。──けれど、住んでいたところは襲撃に遭い、家族は皆命を落としました。ただひとり、ユウリだけが生き残ったのです。
孤独を越えて
20歳になったユウリは、砂漠を越え、遠くに街を見下ろしていました。傍らには一頭のラクダ。街へ向かうかどうか迷いながら、傷ついた心を抱えて、それでもまた一歩を踏み出そうとしていました。
愛に包まれる人生
30歳のユウリは、街でたくさんの子どもたちに囲まれて暮らしていました。なかでも、3歳の小さな女の子は、「お母さんといると嬉しい。優しいお母さん」と、心から慕っていました。
彼女には大切な夫もいました。夫の目から見ると、ユウリは幸せそうに見えながらも、どこか不安や悲しみを秘めているようでした。「この人を、心の底から“幸せだな”と感じさせてあげたい」──そんな深い愛情を抱きながら、夫は彼女と共に歩んでいたのです。
穏やかな旅立ち
ユウリは老いても、子どもや孫たちに囲まれ、安らかな表情で生涯を終えました。孤独な始まりを超え、愛とともに人生を生ききったその姿は、とても晴れやかでした。
🌊 そして、ありのままの自分へ
魂の世界に戻ったユウリは、こう伝えてくれました。
「諦めないで生きること。」
一方で、深い寂しさもありました。「なぜ自分だけが生き残ったのだろう」──そんな思いも、ユウリは海へと流し、そっと手放していきました。
最後に、ユウリから今のYさんへのメッセージ。
「もっと幸せを求めてもいい。
自分の幸せにもっと貪欲でいいんだよ。
大丈夫だよ。」
✨ セッションを終えて
このセッションで出会ったインナーチャイルドも、前世のユウリも、どちらも共通して伝えてくれたのは、「本当の気持ちを大切にすること」**「自分自身をもっと愛していい」**というメッセージでした。
セッション後、Yさんは静かにこう語ってくださいました。
「自分の思いを言葉にすることの大切さがわかりました。
もっと自分に正直に生きてみようと思います。」
小さな気づきが、Yさんの中で大きな灯となり、これからの人生をあたたかく照らしていくことを、心から願っています。
──そして、セッションを見守りながら、私自身も改めて感じていました。いつも驚かされるのは、いらっしゃるクライアントさんと私自身に、まるで共通の教訓のようなテーマが流れていること。
今回のYさんとのセッションでも、気づきがありました。
「自分を後回しにしてしまう」──そんな無意識のクセが、自分の中にもまだあることに。
誰かを大切に想うように、自分自身をも、もっと大切にしていこう。
セラピストの道に終わりはありません。それは、愛の道に終わりがないのと、同じこと。
これからも歩み続けながら、出会うすべての魂と共に、静かに育んでいきたいと思っています。
🌿あなたは、あなた自身を、ちゃんと大切にできていますか?
小さな本音に、そっと耳を傾けるところから、すべては始まります。
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