亡き人と心で語る──ヒプノセラピーが導く、グリーフと癒しの時間
- Ayako Lux
- 3月29日
- 読了時間: 3分
更新日:4月9日
ヒプノセラピー(催眠療法)にはさまざまなアプローチがありますが、先日、スキルアップの一環として「グリーフ療法」を学ぶ講座を受けてきました。
“グリーフ”とは、大切な人やペットを亡くしたときに感じる悲しみだけではありません。人生の中で起こる大きな喪失や変化——たとえば、失恋、仕事の喪失、引っ越し、ライフスタイルの劇的な変化など——そうした出来事に対して湧き上がる深い感情的な反応も、すべてグリーフと呼ばれます。
その感情は単なる悲しみにとどまらず、無力感や孤独感、時には人生の意味そのものを問い直すような、深い内面的な揺れへとつながることもあるのです。
そしてその“癒し”のプロセスは、人によって本当にさまざま。あるときは穏やかに癒えていくように見えても、ふとした拍子にまた深い悲しみに引き戻される——まるで振り子のように、感情が行き来する。そんな日々を過ごす方も少なくありません。
ヒプノセラピーでは、そうしたグリーフの感情にやさしく寄り添う方法として、潜在意識の領域にアクセスし、亡くなった方や失った存在と再会し対話をするという手法があります。
私自身も、学びの一環として体験セッションを受け、その中で亡き夫と再び“対面”するという貴重な時間を持ちました。
セッションの中で、私は自分だけの「安心・安全な空間」に誘導されました。そこには一本の大きな木があり、そこからブランコが吊るされていました。ブランコの前には、小さな木の椅子が置かれていて、私はそこに腰掛けて、彼が現れるのを待ちました。
そこに現れた彼は、若々しく、輝くようなエネルギーをまとっていました。まるでこの三次元の悩みや重たさから完全に自由になった存在のようで、その軽やかさが、どこか羨ましく感じられるほどでした。
「聞きたいことや伝えたいことはありますか?」とセラピストに促されましたが、なぜか、この次元での私の日常の悩みや想いは、すべて“ちっぽけなこと”に思えたのです。
彼から伝わってきたメッセージは、とてもシンプルで明快なものでした。
「自由に、やりたいようにやればいい。今この瞬間に!」
高い次元の存在としての彼の視点から見れば、私たちが日々悩んでいること、思い煩っていることは、時にとても小さく、そして“いのち”という時間の中であまりにももったいないものに感じられるのだということが、心から納得できました。
不思議なことに、彼と対面しても、私は涙を流しませんでした。以前の私なら、彼の姿に触れた瞬間、込み上げてくる喪失感とどうしようもない悲しみに押しつぶされて、きっと泣いていたと思います。けれど今は、その存在がすでに「遠く、異次元のもの」として私の中に位置づいていて、それを執着なく、静かに見つめている自分がいました。そのとき、私は気づいたのです。
ああ、私のグリーフのひとつのステージが、今、静かに終わったんだな、と。
喪失は、時を超えて心に残ります。けれど、こうして「再会」し、もう一度心の奥から対話をすることで、見えてくるものがある——それが、グリーフ療法としてのヒプノセラピーの大きな力だと、あらためて実感しました。




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